0001. UNIX−[コマンドリファレンス(No.1)]

【adb(アブソリュートデバッガ) - (1)】
《書式》
adb [-h]
adb [-n|-o][-w][-I パス名] カーネルファイル メモリーファイル
adb [-n|-o][-w][-I パス名] カーネルファイル クラッシュダンプ
adb [-n|-o][-w][-I パス名] クラッシュダンプ
adb [-n|-o][-w][-I パス名] [オブジェクトファイル] [コアファイル]
adb [-n|-o][-w][-I パス名] -PプロセスID [実行ファイル]
《説明》
adbコマンドは、汎用デバッギングプログラムを実行する。これにより、ファイルを検査しHP-UXプログラムを実行するための環境を得ることができる。
adbコマンドは、現在参照しているオブジェクトファイルと、現在参照しているメモリーファイルを、それぞれ一つだけ調査する。
引数に-を指定すると、このいずれかのファイルをNULLファイルとすることが出来る。なお、オブジェクトファイルとメモリーファイルは、次の引数を使用して指定する。
カーネルファイル:HP-UXのカーネルを指定。通常は、vmunixである。
メモリーファイル:/dev/mem又は/dev/kmemを指定。
クラッシュダンプ:HP-UXのクラッシュダンプを含むディレクトリを指定。
オブジェクトファイル:実行可能なプログラムファイルを指定。ディフォルトは、a.outである。
コアファイル:オブジェクトファイルの実行後に生成されたコアイメージファイル。ディフォルトは、coreである。
実行ファイル:adbコマンドがデバッグするプロセスのプロセスIDに対応する実行可能ファイル。
現在のオブジェクトファイルとは、カーネルファイル、クラッシュダンプ内のvmunix、オブジェクトファイル又は実行ファイルである。
現在のメモリーファイルとは、メモリーファイル、クラッシュダンプ内のシステムメモリーダンプ、コアファイル又はプロセスpidのメモリーである。
-h:使用方法の概要を表示して終了する。他のオプションと引数はすべて無視される。
-i:$HOME/.adbrdを無視する。
-I パス名:パス名は、<又は<<で指定されたファイルを検索するディレクトリのリストを指定する。ディフォルトは、.:/usr/lib/adbである。
-n:通常モードを指定する。Itaniumシステムでは、このモードがディフォルトである。
-o:下位互換モードを指定する。PA-RISCシステムでは、このモードがディフォルトである。
-P プロセスID:プロセスIDのプロセスをトレース対象プロセスとして指定する。
-w:adbコマンドのファイル書き込みコマンドが有効になる。
戻り値
 正常終了:0
 異常終了:≠0
【ar(接続可能なアーカイブとライブラリの作成及び保守) - (1)】
《書式》
ar [-]操作文字 [-][修飾子 …] [位置決め文字] アーカイブファイル [name …]
《説明》
arコマンドは、1本のアーカイブファイルに結合されるファイルのグループを保守する。
主な用途は、リンクエディタで使用するライブラリファイルの作成、更新である。
個々のファイルは、アーカイブファイルに変換せずに挿入される。arコマンドがアーカイブを作成するとき、すべてのマシンに対して移植可能なフォーマットでヘッダを作成する。
操作文字は、次のとおりである。
 d:アーカイブファイルから指定ファイルを削除する。
 r:指定ファイルを置き換えるか、或いは新しいファイルを次のアーカイブに追加する。
  (a)修飾子uを操作文字rと併用する場合は、修正日付が対応するメンバーファイルよりも遅いファイルだけが置き換えられる。
  (b)位置決め文字を使用する場合は、位置決め文字引数を必ず指定しなければならない。
  (c)アーカイブファイルは、存在していなければ作成される。
 q:アーカイブファイルの終端に追加する。位置決め文字は無効となる。
 t:アーカイブファイルの内容の目次を標準出力に出力する。
 p:アーカイブファイルの指定ファイルを標準出力に出力する。ファイル名を指定しないと、すべてのファイルの内容がアーカイブ内の順番にしたがって出力される。
 m:指定ファイルを移動する。
 x:指定ファイルを抽出する。
修飾子は、次のとおりである。
 a:位置決め文字で指定したファイルを、既に位置決めされているファイルの後に配置する。
 b:位置決め文字で指定したファイルを、既に位置決めされているファイルの前に配置する。
 c:アーカイブファイルが作成される際に生成されるメッセージを表示しない様にする。
 f:アーカイブに対する処理を行う前に、指定のファイル名を14バイトに切り捨てる。
 i:b修飾子と同様の操作を行う(位置決め文字で指定したファイルを、既に位置決めされているファイルの前に配置する)。
 l:ローカルホストのワーキングディレクトリにテンポラリファイルを入れる。
 s:アーカイブシンボルテーブルを再生成する。
 u:アーカイブの内容をアップデートする。
 v:アーカイブファイルの作成及び修正に関するファイルごとの詳細な説明を標準出力に出力する。
 z:アーカイブの内容を修正する時に、シンボルテーブルを再構築しない様にする。
 A:オプションのアクセス制御リストエントリーに関する警告メッセージを出力しない様にする。
 C:抽出したファイルが同名のファイルに置き換えられない様にする。
 F:アーカイブ全体を縮小する。
 T:ファイルをアーカイブした時の名前がファイルシステムで使用可能な長さよりも長くなる場合は、そのファイル名を切り捨てる。
《使用例》
ar r newlib.a f3 f2 f1 f4 … ライブラリnewlib.aに、ファイルf3、f2、f1及びf4をこの指定順にアーカイブする。
ar ma f1 newlib.a f2 f3 … ファイルf1の後に、ファイルf2とf3が続く様にf2とf3を移動する。
ar ma f2 newlib.a f3 … ファイルf2の後に、ファイルf3を移動する。
ar r newlib.a f2 f3 … ファイルf2とf3を置き換える。ただし、ファイルf2とf3がライブラリnewlib.aに既存の場合は、置き換えられない。
ar ra f1 newlib.a f2 f3 … ファイルf2とf3を置き換える。
【at(バッチコマンドの即時及び指定時刻での実行) - (1)】
《書式》
(a)指定の時刻で実行するコマンドを標準入力から入力する場合:
at [-m] [-qキュー] -t絶対時間
コマンド群
eof
at [-m] [-qキュー] time [date] [next 時間単位|+カウント 時間単位]
コマンド群
eof
(b)指定の時刻で実行するコマンドをファイルから入力する場合:
at -f ジョブファイル [-m] [-q キュー] -t絶対時間
at -f ジョブファイル [-m] [-q キュー] -t時刻 [日付] [next 時間単位|+カウント 時間単位]
(c)スケジューリングされたジョブのリストを表示する場合:
at -d ジョブid …
at -l [ジョブid …]
《説明》
atコマンドは、cronデーモンによるジョブの実行をスケジューリングする。
atコマンドは、ジョブの実行を指定された時刻にスケジューリングする。
atコマンドは、スケジューリング済みの既存のatジョブを対象として、リスト表示(-i)又は削除(-r)を行う。
atコマンドによるジョブ内にコマンドの入力方法は、次の3通りある。
(a)キーボードから、atコマンド行に続いて、各行にコマンドを指定する。入力を終了するには、eof(ファイル終了)文字を入力する。ディフォルトで、eofはCtrl+Dである。
(b)スクリプトファイルから入力する場合は、atコマンドの-fオプションを使用する。
(c)直前のコマンドのパイプ出力から入力する。
コマンド群:atコマンドによってシェルスクリプトとして実行できる一つ又は複数のUNIXコマンド。
eof:eof(ファイル終了)文字。ディフォルトで、eofはCtrl+Dである。
ジョブファイル:既存のファイルのパス名。
ジョブid:atコマンドによって割り当てられたジョブ番号。
-d ジョブid:指定されたジョブの内容を表示する。
-f ジョブファイル:ジョブファイル中のコマンドを読み込む。
-l [ジョブid …]:指定されたジョブをリスト表示する。ジョブidが指定されなかった場合は、すべてのジョブをリスト表示する。
-m:ジョブの実行後にメールを起動ユーザーに送信して、完了を通知する。
-q キュー:指定したジョブを示されたキューに登録する。
-r ジョブid:ジョブidで指定されたジョブを削除する。
-t絶対時間:ジョブを開始する絶対時間を定義する。
time [date]:ジョブを起動する起動時刻を定義する。
[next 時間単位|+カウント 時間単位]:実行日付及び時刻を、time [date]で指定された基準時刻の後、特定の時間単位数だけ遅延させる。
戻り値
 正常終了:0
 異常終了:1
《使用例》
at -f delayed-job now + 5 minutes … 5分後に、シェルスクリプトdelayed-jobを実行する。
cat delayed-job | at now + 5 minutes … 5分後に、シェルスクリプトdelayed-jobを実行する。
at now + 5 minutes < delayed-job … 5分後に、シェルスクリプトdelayed-jobを実行する。
at -f $HOME/future -t201312271220.00 … ホームディレクトリ中のfuture中のジョブを、2013年12月27日午前12時00分に実行する。
at -f $HOME/jobfile 5am tuesday next week … ホームディレクトリ中のjobfile中のジョブを、次の火曜日の午前5時00分に実行する。
at -f $HOME/jobfile 5am tuesday +2 weeks … ホームディレクトリ中のjobfile中のジョブを、2度目の火曜日の午前5時00分に実行する。
echo "sh $HOME/jobs/weekly-run" | at 1900 thursday next week … ホームディレクトリ中のjobsディレクトリ中のweekly-runにコマンドを追加して、次の木曜日の19時00分に実行する。
【atq(スケジューリングされたジョブの一覧表示) - (1)】
《書式》
atq [-q キュー]
atq -V
《説明》
atqコマンドは、atコマンド、batchコマンド及びcrontabコマンドでスケジューリングした実行待ちジョブを、一覧表示する。
atqコマンドは、at -lコマンドと同じ動作をする。
スーパーユーザの権限でatqコマンドを実行すると、すべてのユーザーのジョブが一覧表示される。
なお、一覧表示される情報は、ジョブ番号、ジョブの実行日時、キュー、スケジューリングしたユーザ名である。
-V:バージョン情報を表示する。
-q キュー:一覧表示するキュー(実行待ちジョブ)を指定する。
《使用例》
atq … 現在のキュー(実行待ちジョブ)をすべて一覧表示する。
atq -q a … atコマンドでスケジューリングされた実行待ちジョブを一覧表示する。
atq -q b … batchコマンドでスケジューリングされた実行待ちジョブを一覧表示する。
【awk(パターン指向の走査処理言語) - (1)】
《書式》
awk [-Fフィールドセパレータ][-v 変数=値][手続き|-f 手続きファイル …][ファイル …]
《説明》
awkコマンドは、入力されたファイル内を検索し、手続き又は-f 手続きファイルでリテラルに指定したパターンのセットと一致するものを探す。
各パターンごとにファイル内の行がパターンと一致すると、そのアクションが実行される。
各行は、各パターンアクション文のパターン部分と照合され、一致したパターンごとに対応するアクションが実行される。
なお、コマンド入力行は、空白又は正規表現FS(フィールドセパレータ)で区切られたフィールドで構成される。このフィールドは、$1、$2、…と表され、$0は行全体を参照する。
-Fフィールドセパレータ:フィールドを区切る正規表現を指定する。ディフォルトは、スペース及びタブ文字。-Fを指定すると先行する入力フィールドセパレータは廃棄しない。
-f手続きファイル:awk手続きファイルを指定する。最大100個までの手続きファイルを指定できる。
-v 変数=値:BEGINアクション(存在する場合)の実行前に、var=valueの割り当てを行う。
パターンアクション文の型式は、次のとおりである。
  パターン{アクション}
 {アクション}を省略すると、行を出力する。パターンを省略すると、常にパターン一致と処理する。
 パターンアクション文は、改行又はセミコロンで区切る。
 if(式) 文[ else 文}
 while(式) 文
 for(式; 式; 式)文
 for(変数 in 配列)文
 do 文 while(式)
 break
 continue
 print [式リスト]
 printf 書式[, 式リスト]
 return [式]
 next
 delete 配列 [式]
 exit [式]
 文は、セミコロン、改行又は}で終了する。
《使用例》
length > 72 … 1行が72文字よりも長い行を出力する。
{print $2, $1} … 反対の順に、最初の二つのフィールド$1と$2を出力する。
/start/,/stop/ … startとstopの間の行をすべて出力する。
【banner(拡大文字によるポスターの作成) - (1)】
《書式》
banner 文字列
《説明》
bannerコマンドは、標準出力にその引数(最大10文字)を拡大文字で出力する。
各引数の拡大文字は、それぞれ別の行に標示される。複数の引数を同じ行に出力するには、ダブルクォーテーションで囲む。
《使用例》
banner Good luck Susan … Goodの文字列が1行目に、 luckの文字列が2行目に、Susanが3行目に出力される。
banner "Good luck" Susan … Good luckの文字列が1行目に出力され、Susanの文字列が2行目に出力される。
【basename,dirname(パス名の一部取り出し) - (1)】
《書式》
basename 文字列 [接尾辞]
dirname [文字列]
《説明》
basenameコマンドは、/で終わるすべてのプレフィックスと接尾辞を、その文字列から削除してその結果を標準出力に出力する。文字列が/だけで構成される場合には、文字列は/に設定される。
文字列に続けて/がある場合は削除される。拡張子オペランドが存在しても、文字列の残りの文字列と同じでない場合や、文字列の残りの文字列の拡張子と同じ場合には、拡張子は文字列から削除される。
basenameコマンドは、通常シェルスクリプト中のコマンド置き換え文字`内で使用する。
dirnameコマンドは、文字列の中にあるパス名を構成する一番下のディレクトリを除いたすべてのディレクトリを抽出する。
文字列にディレクトリ構成要素が無ければ、dirnameコマンドは.を返し、現在のワーキングディレクトリを示す。
戻り値
 正常終了:0
 異常終了:1
《使用例》
次のシェルスクリプトが、引数に/usr/src/cmd/cat.cを付けて実行されると、指定ファイルがccコマンドによってコンパイルされ、出力結果a.outが現在のディレクトリにcatと言う名前のファイルを出力する。
  −−−シェルスクリプト−−−
  cc $1
  mv a.out `basename $1 .c`
  −−−−−−−−−−−−−
NAME=`dirname /usr/src/cmd/cat.c` … シェル変数NAMEを/usr/src/cmdに設定する。
【bc(任意の制度の算術言語) - (1)】
《書式》
bc [-c] [-l] [ファイル]
《説明》
bcコマンドは、C言語に類似した言語の対話型プロセッサであるが、精度を限定しない演算が可能。
任意のファイルを指定するとファイルから入力され、ファイルを指定しないと標準入力から入力される。
bcコマンドの入力は、式、文及び関係式から構成される。
コマンドオプション
 -c:bcコマンドはコンパイルのみ実行する。bcコマンドは、実際にはdcコマンドのプリプロセッサであり、本来自動的にdcコマンドを実行する。
 -l:任意の精度の数値演算ライブラリが定義される。これにより、スケールファクタが設定される。
  /usr/bin/dc:電卓実行可能プログラム
  /usr/lib/lib.b:数学ライブラリ
算術演算子
 +:加算演算子
 -:減算演算子
 *:乗算演算子
 /:除算演算子
 %:除算の余り(剰余)演算子
 ^:べき乗(指数)演算子
 ++:インクリメント演算子
 --:デクリメント演算子
 =:代入演算子
 =+、=-、=*、=/、=%、=^:算術代入演算子
関係演算子
 ==:等号
 <=:以下
 >=:以上
 !=:不等号
 <:より小さい
 >:より大きい
コメント
 コメントは、/*と*/で囲む。
関数定義
 define 関数名(引数リスト){
    auto 変数名
    文
    return 式
 }
 関数名:aからzまでの1文字で表す。
 引数リスト:aからzまでの1文字で表し、複数の場合は,で区切る。
 変数名:aからzまでの1文字で表す。
 文:式やif文、while文及びfor文などの制御文。
《使用例》
bc[Enter] … bcコマンドを起動する。
2+4[Enter] … 2+4を計算させる。
6 … bcコマンドが、答え6を表示する。
quit … bcコマンドを終了する。
bc test[Enter] … 計算式などがあらかじめ記述されているファイルtestを基に、bcコマンドを起動する。
6 … bcコマンドが、答え6を表示する。
なお、ファイルtestの内容は、次のとおりとする。
 2+4
 quit
【bdiff(ラージファイルのdiff) - (1)】
《書式》
bdiff ファイル1 ファイル2 [行数] [-s]
《説明》
bdiffコマンドは、二つのファイルを比較して、diffコマンドの出力と同じ出力様式で二つのファイルの差異を表示する。
bdiffコマンドは、diffコマンドには大き過ぎるファイルを処理するために設計されているが、任意の長さのファイルに使用できる。
bdiffコマンドは、ファイルを次の様に処理する。
 ・両方のファイルの先頭に共通な行を無視する。
 ・指定した各ファイルの残りを行数セグメントに分割し、次に対応するセグメントに対してdiffコマンドを実行する。行数のディフォルト値は、3500である。
コマンドライン引数
 ファイル1:bdiffコマンドによって比較されるファイルの名称。ファイル名が、-の場合は標準入力となる。
 ファイル2:bdiffコマンドによって比較されるファイルの名称。ファイル名が、-の場合は標準入力となる。
 行数:diffコマンドの処理の前に、行数セグメントに分割される。行数のディフォルト値は、3500である。このオプションは、3500行のセグメントがdiffコマンドによる処理に大き過ぎる場合に有効。
 -s:サイレントオプションと言い、bdiffコマンドによる診断メッセージを出力されない様にするが、diffコマンドから生じるエラーメッセージは表示する。
《使用例》
bdiff file1 file2 > diffs_1_2 … 二つのファイルfile1とfile2の相違部分を探して、その結果をファイルdiffs_1_2に出力する。
bdiff file1 file2 1400 -s > diffs_1_2 … 二つのファイルfile1とfile2を、ファイル長を1400行に制限し、診断メッセージを出力しない様にして、ファイルの比較を行う。
【cal(カレンダーのプリント) - (1)】
《書式》
cal [[月]年]
《説明》
calコマンドは、グレゴリオ暦のカレンダーを出力する。
年を指定してcalコマンドを実行すると、指定された西暦年のカレンダーを出力する。更に、月も指定してcalコマンドを実行すると、指定された西暦年の指定された月のカレンダーを表示する。
コマンドライン引数
 月:1から12までの10進数を指定する。
 年:1から1999までの10進数を指定する。年は、西暦として処理される。
《使用例》
cal … 現在の月のカレンダーを表示する。
cal 2007 … 西暦2007年の1月から12月までのカレンダーを表示する。
cal 4 2007 … 西暦2007年の4月のカレンダーを表示する。
【cat(ファイルの連結、コピー及び出力) - (1)】
《書式》
cat [-benrstuv] ファイル名リスト
《説明》
catコマンドは、ファイル名リストで指定された各ファイルを順次読み込んで、標準出力に出力する。
なお、ファイル名リストに-を指定すると読み込みは標準入力から行われる。
コマンドオプション
 -b:-nオプションが指定されたとき、空白行の行番号を省略する。このオプションを指定した場合、-nオプションが自動的に選択される。
 -e:各行の最後(改行の前)に$文字を表示する。このオプションを指定した場合、-vオプションが自動的に選択される。
 -n:出力行の前に行番号を表示する。この行番号は、1から始まるシーケンシャル番号である。
 -r:複数の連続した空行を1行の空行で置き換え、文字を含む行と行が2行以上空くことがない様にする。
 -s:サイレントオプション。ファイルが存在しない場合、入力ファイルと出力ファイルが同一の場合、及び書き込みエラーがある場合のエラーメッセージを出力しない。
 -t:各タブ文字を^Iと、改ページ文字を^Lとして表示する。
 -u:文字単位で処理する(バッファリングなし)。通常は、バッファリングされて出力される。
 -v:非プリント文字(タブ、ニューライン及び改ページを除く)を表示する。
戻り値
 正常終了:0
 異常終了:>0
《使用例》
cat file1 … ファイルfile1を標準出力へ出力する。
cat file1 file2 > file3 … ファイルfile1とファイルfile2を連結して、その結果をファイルfile3に出力する。
cat - file1 … 標準入力からの入力とファイルfile1を連結して、その結果を標準出力に出力する。
cat /dev/null > file1 … ファイル長が0バイトのファイルを作成する。
【cd(ワーキングディレクトリの変更) - (1)】
《書式》
cd [ディレクトリ名]
《説明》
cdコマンドは、現在のワーキングディレクトリをディレクトリ名で指定されたディレクトリに変更(移動)する。
ディレクトリ名を省略すると、環境変数HOMEで指定されているディレクトリに変更(移動)する。
また、ディレクトリ名の指定には、/で始まる絶対パス指定と、/で始まらない相対パス指定が有る。相対パス指定の場合は、現在のワーキングディレクトリ配下のディレクトリを検索する。
環境変数
 HOME:ディレクトリ名を省略した場合に参照されるホームディレクトリ名。
 CDPATH:ディレクトリを参照するパス名を:で区切ったパス名のリスト。cdコマンドの引数ディレクトリ名が/あるいは.若しくは..で始まらない場合、cdコマンドは、環境変数CDPATHに指定された各ディレクトリのパス名リストからリストされた順序でディレクトリ名を検索する。
戻り値
 正常終了:0
 異常終了:>0
《使用例》
cd dir1 … 現在のワーキングディレクトリ配下のディレクトリdir1に、ワーキングディレクトリを変更(移動)する。
cd ./dir1 … 現在のワーキングディレクトリ配下のディレクトリdir1に、ワーキングディレクトリを変更(移動)する。
cd /usr/local/lib/work.files … ディレクトリ/usr/local/lib/work.filesに、ワーキングディレクトリを変更(移動)する。
cd $HOME/dir1 … 環境変数HOMEで指定されたディレクトリ配下のディレクトリdir1に、ワーキングディレクトリを変更(移動)する。
【checknr(nroff/troffファイルのチェック) - (1)】
《書式》
checknr [-s] [-f] [-a.x1.y1.x2.y2 … .xn.yn] [-c.x1.x2.x3 … .xn] [ファイル名 …]
《説明》
checknrコマンドは、nroff又はtroff入力ファイルのリストから、オープン及びクローズデリミタの不一致や、未定義コマンドなどの特定の種類のエラーを検索する。
ファイル名が指定されていない場合は、checknrコマンドは標準入力を検索する。
検索項目
 \fx … \fPを使用したフォント変更。
 \sx … \s0を使用したサイズ変更。
 .TS、.TEマクロなどのオープンとクローズ型式のマクロ。
コマンドオプション
 -a:リストにある追加マクロペアを定義する。-aの後に続く6文字のグループは、それぞれマクロのペアを定義する。この6文字は、順にピリオド、第一マクロ名、ピリオド及び第二マクロ名で構成する。
 -c:checknrコマンドが未定義と解釈してしまうコマンドを、あらかじめ定義する。
 -f:\fxフォント変更を無視する。
 -s:\sxサイズ変更を無視する。
《使用例》
checknr -a.BS.ES.XS.XE … .BSと.ESのペア及び.XSと.XEのペアを定義する。
checknr -f sorting … ファイルsortingから対応しないオープン及びクローズのデリミタ、未定義コマンドなどのエラーをチェックする。
【chfn(ユーザー情報の変更(fingerコマンドで使用)) - (1)】
《書式》
chfn [ログイン名]
chfn [-r files | nis | nisplus | dce] [ログイン名]
《説明》
chfnコマンドは、現在ログインしているユーザー、又はログイン名で指定したユーザーに対してリポジトリに格納されたユーザー情報を変更する。
ユーザー情報は、パスワードファイルエントリーの予約フィールド(第5フィールド)で四つの各サブフィールド(それぞれ,で区切ったフィールド)として編成される。
このユーザー情報とは、ユーザーの本名、住所、勤務先及び自宅の電話番号で構成され、fingerコマンドなどによって使用される。
また、このユーザー情報の入力は、chfnコマンドが各サブフィールドごとに入力を求めてくる。なお、ブランクフィールドを入力する場合は、noneとタイプ入力する。
コマンドオプション
 ログイン名:別のユーザー情報を変更する場合に、そのユーザー名を指定する。
 -r files:filesリポジトリに対して操作を適用する。
 -r nis:NISリポジトリに対して操作を適用する。
 -r nisplus:NIS+リポジトリに対して操作を適用する。
 -r dce:DCEリポジトリに対して操作を適用する。DCEリポジトリは、Integrated Loginが設定されている場合にのみ利用可能である。
  また、スーパーユーザー特権に依存せず、適切なDCE特権のユーザーだけがユーザーのfinger(gecos)情報を変更できる。
サブフィールド名
 Name:最大文字数1,022文字。fingerコマンドなどでは、このサブフィールドにある&をログイン名に置き換え、ログイン名の接頭辞を大文字に変換する。
 Location:最大文字数1,022文字。
 Office Phone:最大文字数25文字。
 Home Phone:最大文字数25文字。
注記
 chfnコマンドは、passwdコマンドへのハードリンクである。すなわち、chfnコマンドを実行すると、実際にはpasswdコマンドがコマンドオプションに指定されたリポジトリ内のユーザーのgecos情報を変更する引数付きで実行される。
 なお、リポジトリが指定されない場合には、/etc/passwdファイル内のgecos情報が変更される。
《使用例》
chfn … 次のユーザー情報を変更する。リポジトリを指定していないため、/etc/passwdファイルへ書き込まれる。
 Name[Tracy Simmons]:
 Location(Ex:47U-P5)[]:42L-P1
 Office Phone(Ex:1632)[77777]:71863
 Home Phone(Ex:9875432)[4085551546]:none
【chgrp(ファイルのグループの変更) - (1)】
《書式》
chgrp [-h] [-R] 新グループ ファイル名 …
《説明》
chgrpコマンドは、指定された各ファイル名のグループIDを新グループに変更する。
なお、グループとは、/etc/groupファイル内にある10進数のグループID又はグループ名となる。
コマンドオプション
 -h:シンボリックリンクのグループ者を変更する。ディフォルトでは、シンボリックリンクが指すターゲットファイルのグループが変更される。
 -R:グループの変更を繰り返す。ファイル名にディレクトリを指定すると、ディレクトリの所有者と、そのディレクトリ配下にあるファイル及びサブディレクトリのグループが変更される。
戻り値
 正常終了:0
 異常終了:>0
《使用例》
chgrp users file1 … ファイルfile1のグループをusersに変更する。
chown -R users dir1 … ディレクトリとその配下のファイルとサブディレクトリのグループをusersに変更する。
【chkey(セキュアRPCキーの対の変更) - (1)】
《書式》
chkey [-p] [-s nisplus | nis | files]
《説明》
chkeyコマンドは、ユーザーのセキュアRPCのパブリックキーとシークレットキーの対を変更する。chkeyコマンドは、ログインパスワードとセキュアRPCのパスワードが同一であることを保証する。
chkeyコマンドは、古いセキュアRPCのパスワードの入力要求を行い、シークレットキーを復号化してそのパスワードが正しいかどうかを確認する。
また、ユーザーがまだログインしていない場合は、chkeyコマンドはそのシークレットキーをローカルのkeyservデーモンによって登録する。
なお、セキュアRPCのパスワードがログインパスワードと一致しない場合は、chkeyコマンドはログインパスワードを入力要求を行い、このログインパスワードを使用してユーザーの秘密のDiffie-Hellman(192ビット)暗号キーを暗号化する。
パブリックキーとシークレットキーの対は、/etc/publickeyファイル、NISのpublickeyマップ、又はNIS+のcred.org_dirテーブルに保存することができる。また、新しいシークレットキーが生成されると、そのキーはローカルのkeyservデーモンによって登録される。
コマンドオプション
 -p:既存のシークレットキーをユーザーのログインパスワードによって暗号化し直す。
 -s nisplus:NIS+データベースを更新する。
 -s nis:NISデータベースを更新する。
 -s files:filesデータベースを更新する。
【chmod(ファイルモードアクセスパーミッションの変更) - (1)】
《書式》
chmod [-A] [-R] シンボリックモードリスト ファイル名 …
旧型式
 chmod [-A] [-R] 数値モード ファイル名 …
《説明》
chmodコマンドは、シンボリックモードリスト又は数値モードの値に従って、ファイル名で指定したファイルのパーミッションを変更する。
なお、ls -lコマンドを使用して、ファイルに対する現在のパーミッションを表示することができる。
コマンドオプション
 -A:ファイルに関連するオプションのアクセス制御リスト(ACL)エントリーを保存する。ディフォルトでは、オプションのACLエントリーが削除される。
 -R:ファイルモードビットを再帰的に変更する。chmodコマンドは、指定されたディレクトリごとに、ディレクトリとそのディレクトリの配下にある全ファイル、及びサブディレクトリに関するファイルモードビットを変更する。
 シンボリックモードリスト
  シンボリックモードリストは、次の型式の操作リストをそれぞれ,で区切ったものである。
  [対象者]操作[パーミッション][,…]
  対象者:以下のいずれか、又は複数の項目の組み合わせである。
    u:ユーザー(所有者)のアクセスパーミッションを変更する。
    g:グループのアクセスパーミッションを変更する。
    o:その他のユーザーのアクセスパーミッションを変更する。
    a:すべてのユーザのアクセスパーミッションを変更する。aは、ugoと等価である。
  操作:以下の操作を指定する。
    +:既存のファイルモードビットにパーミッションを追加する。
    -:既存のファイルモードビットからパーミッションを削除する。
    =:既存のファイルモードビットを、新しいパーミッションに置き換える。
  パーミッション:以下の組み合わせでアクセスパーミッションを指定する。
    r:読み取りパーミッションを追加あるいは削除する。
    w:書き込みパーミッションを追加あるいは削除する。
    x:ファイル実行(ディレクトリ検索)パーミッションを追加あるいは削除する。
    s:ファイル実行時の所有者ID設定パーミッション、又はファイル実行時のグループID設定パーミッションを追加あるいは削除する。対象者にu又はgが暗黙的あるいは明示的に指定された場合のみ有効。
    t:ファイル実行時のテキストイメージ保存(スティッキービット)パーミッションを追加あるいは削除する。対象者にuが暗黙的あるいは明示的に指定された場合のみ有効。
    X:次の様に、条件付きで実行又は検索パーミッションを追加あるいは削除する。
      (a)指定したファイル名がディレクトリの場合、既存ファイルモードの検索パーミッションを追加あるいは削除する(xと同様)。
      (b)指定したファイル名がディレクトリではない場合で、現在のファイルパーミッションに一つ以上のユーザー、グループ及びその他のユーザーに対する実行パーミッション(ls lにより、xあるいはsが表示)が有れば、実行ファイルパーミッションを追加あるいは削除する。
      (c)指定したファイル名がディレクトリではない場合で、現在のファイルモードに実行パーミッションが設定されていない場合は、実行パーミッションは変更されない。
 数値モード
  絶対パーミッション(数値モード)は、次のモードビットの論理和で構成した8進数を指定して設定できる。
  各種モードビット
    4000(= u=s):ファイル実行時にユーザーIDをセットする(ファイルのみ)。
    2000(= g=s):ファイル実行時にグループIDをセットする。
    1000(= u=t):スティッキービットをセットする。
  パーミッションモード
    0400(= u=r):所有者による読み取り
    0200(= u=w):所有者による書き込み
    0100(= u=x):所有者によるファイル実行(ディレクトリ検索)
    0040(= g=r):グループによる読み取り
    0020(= g=w):グループによる書き込み
    0010(= g=x):グループによりファイル実行(ディレクトリ検索)
    0004(= o=r):その他による読み取り
    0002(= o=w):その他による書き込み
    0001(= o=x):その他によるファイル実行(ディレクトリ検索)
注記
 ファイルモードを変更できるのは、その所有者又は適切な特権を有するユーザーに限られる。
 ファイルのスティッキービットをセットできるのは、適切な特権を有するユーザーに限られる。
戻り値
 正常終了:0
 異常終了:>0
《使用例》
chmod o-w file1 … file1について、その他のユーザーに対する書き込みパーミッションを拒否する。
chmod a+x file1 … file1について、すべてのユーザーに対してファイルを実行可能にする。
chmod a=rx,u+s file1 … file1について、すべてのユーザーに読み取りと実行パーミッションを与え、ユーザーID設定ビットをセットする。
chmod u=rw,go=r file1 … file1について、所有者に読み取りと書き込みパーミッションを与え、その他のすべてのユーザーに読み取りパーミッションを与える。
chmod 644 file1 … file1について、所有者に読み取りと書き込みパーミッションを与え、その他のすべてのユーザーに読み取りパーミッションを与える。
【chown(ファイルの所有者の変更) - (1)】
《書式》
chown [-h] [-R] 新所有者[:新グループ] ファイル名 …
《説明》
chownコマンドは、指定された各ファイル名の所有者IDを新所有者に変更し、またオプションとして指定された各ファイル名のグループIDを新グループに変更する。
なお、所有者とは、/etc/passwdファイル内にある10進数のユーザーID又はログイン名となる。
また、所有者を変更するには、そのファイルを所有していて、且つchown特権を有していなければならない。
コマンドオプション
 -h:シンボリックリンクの所有者を変更する。ディフォルトでは、シンボリックリンクが指すターゲットファイルの所有者が変更される。
 -R:所有者の変更を繰り返す。ファイル名にディレクトリを指定すると、ディレクトリの所有者と、そのディレクトリ配下にあるファイル及びサブディレクトリの所有者が変更される。
戻り値
 正常終了:0
 異常終了:>0
《使用例》
chown owner1 file1 … ファイルfile1の所有者をowner1に変更する。
chown -R owner1:users dir1 … ディレクトリとその配下のファイルとサブディレクトリの所有者をowner1にグループをusersに変更する。
【chsh(ディフォルトのログインシェルの変更) - (1)】
《書式》
chsh ログイン名 [シェル名]
chsh [-r files | nisplus | nis | dce] ログイン名 [シェル名]
《説明》
chshコマンドは、リポジトリに記述されたログイン名のユーザーのログインシェルを変更する。
DCEリポジトリ(-r dce)は、Integrated Loginが設定されている場合にのみ有効。
Integrated Loginが設定されている場合は、他の留意事項が適用される。
適切なDCE特権のユーザーだけがユーザーのシェルを変更できる。この場合、スーパーユーザー特権には依存しない。
リポジトリが指定されない場合(chsh [ログイン名])、ログインシェルは、passwdファイル内のみ変更する。
コマンドオプション
 ログイン名:ユーザーのログイン名
 シェル名:シェルの絶対パス名。/etc/shellsファイルが既存の場合、新規のログインシェルはこのファイルにリストされている必要がある。
      シェル名の指定を省略すると、デフォルトのPOSIXシェル/usr/bin/shが採用される。
 -r:操作を適用するリポジトリを指定する。
注記
 chshコマンドは、passwdコマンドへのハードリンクである。
 chshコマンドが実行されると、実際にはpasswdコマンドがコマンドラインに指定されたリポジトリ内のユーザログインコマンドを変更する適切な引数で実行される。
 リポジトリの指定が無い場合は、/etc/passwdファイル内のログインシェルが変更される。
《使用例》
chsh voltaire … ユーザーvoltaireのログインシェルをデフォルトに変更する。
chsh descartes /usr/bin/csh … ユーザーdescartesのログインシェルをCシェルに変更する。
chsh -r dce aristotle /usr/bin/ksh … ユーザーaristotleをDCE登録データ内のKシェルに変更する。
【ckconfig(全てのFTP構成ファイルのパス名を検証) - (1)】
《書式》
/usr/bin/ckconfig [-V]
《説明》
ckconfigコマンドは、FTP構成ファイルのパス名を検証する。
ckconfigコマンドは、FTP構成ファイルが全て指定されたパス上にあるか確認し、FTP構成ファイルがパス上に見つからない場合は、システム管理者に対してエラーメッセージを出力する。
なお、このFTP構成ファイルは、次のとおりである。
  /etc/ftpd/ftpusers … 禁止/制限を受けるユーザーリストファイル。
  /etc/ftpd/ftpaccess … ftpdの全体的な動作設定を行うための設定ファイル。
  /etc/ftpd/ftpconversions … ファイル転送時のファイル圧縮と展開を定義する設定ファイル。
  /etc/ftpd/ftpgroups … 特定のグループに対してパスワードを要求するファイル。
  /etc/ftpd/ftphosts … 仮想ホストのための設定ファイル。
  /var/adm/syslog/xferlog … ftpのログファイル。
  /etc/ftpd/pids … ftpプロセスの状態ファイル。
コマンドオプション
 -V:著作権とバージョン情報を表示する。
《使用例》
ckconfig

検索コマンド名:

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